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犬の下痢・血便は要注意?原因・受診目安・急性出血性下痢症候群(AHDS)を獣医師が解説。

朝は元気だったのに、急に下痢をして血が混じっている。

そんな様子を見ると、とても心配になると思います。

犬の下痢や血便には、食事の変化や一時的な胃腸炎のように比較的軽いものから、急いで治療が必要な病気までさまざまな原因があります。

なかでも、急性出血性下痢症候群(AHDS)は、短時間で脱水が進み、全身状態が急激に悪くなることがあるため注意が必要です。

この記事では、犬の下痢・血便で考えられる主な原因、すぐに受診したい症状、急性出血性下痢症候群(AHDS)の特徴、治療の流れ、ご自宅での注意点までをわかりやすく解説します。

犬の下痢や血便で考えられる主な原因

犬が下痢や血便をする原因はひとつではありません。

緊急性の高いものから、比較的軽度なものまで幅があります。

緊急性が高い主な原因

・急性出血性下痢症候群(AHDS)
突然の激しい下痢や血便、嘔吐を起こし、短時間で脱水が進むことがあります。

・急性膵炎
強い嘔吐や腹痛が目立ち、重症化するとぐったりすることがあります。

・異物誤飲
おもちゃ、布、骨、竹串状のものなどを飲み込むと、消化管を傷つけたり閉塞を起こしたりして、下痢や血便の原因になることがあります。

・中毒
チョコレート、タマネギ、殺鼠剤、薬剤などの誤食で、消化器症状や出血がみられることがあります。

感染症による下痢・血便

・ウイルス感染
犬パルボウイルス感染症などでは、激しい嘔吐や下痢、血便がみられ、特に子犬では重症化しやすいため注意が必要です。

・細菌感染
サルモネラ、カンピロバクターなどが関与することがあり、粘液便や血便を伴う場合があります。

・寄生虫
回虫、鉤虫、コクシジウム、ジアルジアなどでも下痢や血便がみられることがあります。子犬や保護犬では特に注意が必要です。

慢性的・その他の原因

・食事の変化
急なフード変更、脂っこいもの、人の食べ物などでお腹を壊すことがあります。

・ストレス
引っ越し、ペットホテル、雷、来客などの環境変化がきっかけになることもあります。

・炎症性腸疾患(IBD)
慢性的に下痢や嘔吐を繰り返す病気です。

・腫瘍
高齢犬で血便が続く場合は、消化管ポリープや腫瘍も鑑別に入ります。

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このように、血便の背景にはさまざまな原因があります。
特に、急に始まった激しい下痢、血便、嘔吐、元気消失を伴う場合は、早めの受診が大切です。

急性出血性下痢症候群(AHDS)とは?

以前は「出血性胃腸炎」と呼ばれていた病気です

急性出血性下痢症候群(AHDS)は、急な嘔吐と血液の混じった水様性の下痢を特徴とする病気です。

以前は「出血性胃腸炎(HGE)」と呼ばれていましたが、病変の中心は胃ではなく腸であることから、現在はAHDSという呼び方が一般的になっています。

急に発症し、短時間で悪化することがあります

特徴的なのは、突然始まる激しい下痢や血便です。

便は「イチゴジャム状」「ラズベリージャム状」と表現されることがあり、鮮やかな赤色の水っぽい便がみられることがあります。

AHDSでは、消化管から急速に水分が失われるため、見た目以上に脱水が進んでいることがあります。

その結果、ぐったりしたり、重症例ではショックに近い状態になったりすることもあります。

小型犬で多い傾向があります

どの犬でも起こる可能性がありますが、

トイプードル、ヨークシャー・テリア、ミニチュア・シュナウザー

などの小型犬・トイ犬種で多いとされています。

ただし、犬種や年齢だけで判断はできず、どの犬でも発症する可能性があります。

原因ははっきりとはわかっていません

AHDSの正確な原因はまだ完全には解明されていません。

腸のバリア機能が急に障害され、腸管内に水分や血液成分が漏れ出すことで起こると考えられています。

クロストリジウム属菌との関連が示唆されていますが、感染症として単純に説明できる病気ではありません。

食事の変化、誤食、ストレスなどがきっかけになることもありますが、はっきりした誘因が分からないことも少なくありません。

どんな症状ならすぐに受診すべき?

下痢が1〜2回で止まり、食欲や元気も保たれている場合は、一時的な胃腸の不調のこともあります。

ただし、次のような症状がある場合は、様子を見すぎないようにしてください。

受診を急ぎたい症状

  • 血が混じった下痢が出ている
  • 水のような下痢を何度も繰り返している
  • イチゴジャム状の血便が出ている
  • 黒っぽいタール状の便が出ている
  • 嘔吐を繰り返している
  • 食欲がない、水も飲めない
  • ぐったりしている
  • お腹を痛がる、震える
  • 歯ぐきが白っぽい
  • 体が冷たい、反応が鈍い

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これらに当てはまる場合は、夜間や休日でも早めに動物病院へ相談してください。
特に血便に加えて嘔吐や元気消失がある場合は、AHDSや膵炎、異物、重い感染症なども考える必要があります。

動物病院で行う検査と診断

下痢や血便の治療では、まず全身状態の評価と、原因の絞り込みを行います。

主な検査

・問診、身体検査
症状が始まった時間、便の回数、嘔吐の有無、食事内容、誤食の可能性、ワクチン歴などを確認します。

・血液検査
脱水の程度、炎症の有無、電解質異常、内臓機能などを確認します。AHDSでは、血液が濃くなる「血液濃縮」がみられ、PCV(ヘマトクリット値)が高くなることがあります。

・便検査
寄生虫や感染症の可能性を確認します。必要に応じてパルボウイルス検査などを行うこともあります。

・画像検査
レントゲンや超音波検査で、異物、腸閉塞、膵炎、腫瘍など他の病気が隠れていないか確認します。

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AHDSでは、急性の血便に加えてPCVが高値となり、総蛋白が正常〜やや低めという所見が参考になることがあります。ただし、最終的には他の病気を除外しながら総合的に判断します。

治療法と回復までの流れ

治療の中心は輸液です

AHDSの治療で最も重要なのは、失われた水分を速やかに補うことです。

脱水が軽い場合は通院治療で対応できることもありますが、ぐったりしている場合や嘔吐が強い場合、脱水が進んでいる場合は入院が必要になります。

軽症〜中等症で行うこと

  • 皮下点滴または静脈点滴
  • 吐き気止め
  • 胃腸を保護する治療
  • 必要に応じて整腸剤
  • 食事の再開タイミングの調整

重症例で行うこと

  • 入院下での静脈点滴
  • 循環状態のモニタリング
  • 電解質補正
  • 嘔吐や腹痛のコントロール
  • 必要に応じた追加検査

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なお、抗菌薬はすべてのAHDS症例で一律に使うわけではありません。重度の炎症、好中球の大きな異常、敗血症が疑われる場合など、必要と判断されたときに使用が検討されます。

どのくらいで回復する?

早期に適切な治療を行えば、多くの犬で比較的早い改善が期待できます。症状の重さにもよりますが、数日で食欲や元気が戻ってくるケースも少なくありません。

一方で、受診が遅れると脱水や循環不全が進み、重症化することがあります。血便が出ている上に元気がない、何度も吐いているという場合は、できるだけ早く受診してください。

治療費の考え方

犬の下痢・血便の治療費は、原因や重症度、必要な検査の内容で大きく変わります。

通院で済む場合もあれば、入院・点滴管理・画像検査が必要になることもあります。そのため、費用は一律ではありません。

受診時には、必要な検査や治療の優先順位、入院の可能性も含めて説明を受けるようにしましょう。
ペット保険に加入している場合は、補償内容も確認しておくと安心です。

回復期の食事と注意点

治療後は、胃腸への負担を減らしながら食事を早期に再開することが大切です。

自己判断で急にいつもの食事に戻さず、獣医師の指示に従って進めましょう。

食事再開のポイント

  • 少量から始める
  • 消化のよい食事を選ぶ
  • 数回に分けて与える
  • 便の状態を見ながら徐々に戻す

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脂っこいもの、人の食べ物、おやつの急な再開は再び胃腸に負担をかけることがあります。回復後もしばらくは、便の状態、食欲、元気をよく観察してあげてください。

自宅での応急対応と注意点

水分は少量ずつ

嘔吐がなく、自分で飲めるようであれば、少量ずつ水を与えてください。

ただし、一気飲みで吐いてしまうようなら無理に飲ませず、早めに受診しましょう。

人の薬や市販薬は自己判断で使わない

下痢止めや整腸薬など、人用の薬を自己判断で与えるのは危険です。

症状を分かりにくくしたり、かえって悪化させたりすることがあります。

便や嘔吐物は持参する/写真を撮る

便の色、量、回数は診断の手がかりになりますし、寄生虫の検出のためには実物を検査することが必要です。

便は廃棄せず、持参してください。もし難しければ受診前に写真を撮っておくと、診察時の参考になります。

夜間・休日は電話相談を

血便があり、ぐったりしている、何度も吐く、水も飲めないという場合は、時間帯にかかわらず動物病院に相談してください。かかりつけで対応が難しいときは、夜間救急の利用も検討が必要です。

予防のためにできること

AHDSを100%防ぐことはできませんが、日頃の管理でリスクを減らせる可能性があります。

日常で気をつけたいこと

  • フードは急に変えない
  • 人の食べ物を与えすぎない
  • 誤食しやすい物を届く場所に置かない
  • ストレスの強い環境変化に配慮する
  • ワクチンや定期健診を継続する

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また、胃腸が弱い犬では、普段の便の状態を把握しておくことも大切です。
「いつもの軟便」と思っていても、血が混じる、回数が増える、元気がないといった変化があれば、早めに相談してください。

よくあるご質問

Q1. 犬の下痢に血が混じっていても、少し様子を見て大丈夫ですか?

元気や食欲があり、少量の血が一度だけ混じった程度であれば、すぐに命に関わるとは限りません。

ただし、血便が続く、嘔吐がある、元気がない、水様便を繰り返す場合は、様子を見ずに受診をおすすめします。

Q2. AHDSは他の犬にうつりますか?

AHDSそのものは、一般的に感染症とは考えられていません。

ただし、血便の原因がパルボウイルスや細菌性腸炎など別の感染症である場合は、感染対策が必要になることがあります。

Q3. 再発することはありますか?

再発する犬もいます。

食事内容、誤食、ストレス、体質などが関与することがあるため、きっかけになりやすい状況を振り返ることが大切です。

Q4. 便が真っ赤ではなく黒いのですが、同じですか?

黒っぽいタール状の便は、消化管の上部で出血しているときにみられることがあります。

赤い血便とは原因が異なることもあるため、黒い便も受診の目安になります。

Q5. 整腸剤やサプリで予防できますか?

補助的に使われることはありますが、それだけでAHDSを確実に予防できるわけではありません。

愛犬に合うかどうかは体質や症状によって異なるため、使用前に獣医師へご相談ください。

まとめ

犬の下痢や血便は、軽い胃腸トラブルのこともありますが、急いで治療が必要な病気のサインであることもあります。

特に、血便に加えて嘔吐、元気消失、食欲低下がみられる場合は、急性出血性下痢症候群(AHDS)を含めて慎重な判断が必要です。

大切なのは、「少し様子を見よう」と判断しすぎないことです。

いつもと違う下痢、血が混じる便、ぐったりした様子があれば、早めに動物病院へご相談ください。

東中野アック動物医療センターでは、犬の下痢・血便を含む消化器症状の診察にも対応しています。
気になる症状がある場合は、お早めにご相談ください。

【迷ったらすぐに】東中野アック動物医療センターへご相談ください

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当院は犬の病気に詳しい獣医師が在籍し、丁寧なカウンセリングと総合診療・専門医療を兼ね備えた体制で、飼い主さまと一緒に原因を探ります。

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東中野アック動物医療センター院長 阿部 透
東中野アック動物医療センター院長
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