「愛犬を抱っこしたら、耳からいつもと違うにおいがする」
「耳掃除をしたのに、すぐに茶色い耳垢がたまってしまう」
そんな変化に気づくと、汚れているだけなのか、病気なのか心配になりますよね。
犬の耳のにおいが強くなる背景には、外耳炎などのトラブルが隠れていることがあります。特に、耳をかく、頭を何度も振る、耳が赤いといった変化がある場合は、耳掃除だけで対処しようとせず、動物病院で相談することが大切です。
この記事では、犬の耳が臭うときの受診の目安、ご自宅で気をつけたいこと、考えられる原因、診察や治療の流れを分かりやすく解説します。
犬の耳が臭いとき、動物病院に相談する目安は?

耳のにおいが気になったときは、「普段と比べてどう変わったか」「におい以外の症状がないか」を確認しましょう。
においに加えて、かゆみ・赤み・耳垢の増加があるとき
次のような変化がある場合は、早めに動物病院へご相談ください。
- 耳をかく回数が増えた
- 頭を何度も振る、耳を床や家具にこすりつける
- 耳の内側が赤い、腫れている
- 耳垢が増えた、ベタベタした分泌物がついている
- 耳に触れようとすると嫌がる
耳の炎症は、かゆみだけでなく痛みを伴うこともあります。食欲があり、散歩を楽しんでいるように見えても、耳に不快感を抱えている可能性はあります。
においだけが気になる場合も、以前より明らかに強くなったり、続いたりするときは、一度診察を受けましょう。
強い痛みや、頭の傾き・ふらつきがあるとき
以下のような様子が見られたら、すぐに動物病院へ連絡し、受診のタイミングを確認してください。
- 耳を痛がって鳴く、落ち着かない
- 激しくかき続けて、傷や出血ができている
- 頭を片側に傾けたまま戻さない
- ふらつく、まっすぐ歩けない
頭の傾きやふらつきには、耳の奥にある中耳・内耳の病気や、耳以外の病気が関係することがあります。ご家庭で原因を見分けようとせず、症状を伝えて診察につなげましょう。
耳を確認するときも、痛がる場合は無理に触らないでください。普段と違う動きを動画に残せると、診察時に様子を伝えやすくなります。
耳掃除でよくなる?受診前に気をつけたいこと

「においがするなら、まず耳掃除をしよう」と考える方もいらっしゃると思います。
ただし、健康な耳の日常ケアと、異変がある耳への対処は分けて考える必要があります。
赤みや痛みがある耳を、無理に掃除しない
耳掃除は、状態に合った方法で行えば治療やケアに役立ちます。一方、炎症のある耳を強くこすったり、嫌がる犬を押さえて掃除したりすると、痛みや刺激を与えてしまいます。
赤み・腫れ・痛みがあるときは、まず獣医師に相談しましょう。診察前に耳をきれいにしておこうと、無理に汚れを取り除く必要はありません。
また、健康で汚れの少ない耳まで、頻繁に掃除する必要があるとは限りません。ケアの頻度は、その犬の耳の状態に合わせることが大切です。
綿棒を耳の奥に入れたり、自己判断で薬を使ったりしない
綿棒を耳の穴に入れると、汚れを奥へ押し込んだり、耳の中を傷つけたりするおそれがあります。
また、人用の消毒液や、以前処方された点耳薬を自己判断で使うことも避けましょう。似た症状でも原因が同じとは限らず、鼓膜の状態によって適さない薬や洗浄液もあります。
現在、獣医師の指示で耳の治療や洗浄を続けている場合は、その指示に従ってください。使用後に痛がる、症状が悪化するなどの変化があれば、処方した動物病院へ連絡しましょう。
受診までに、症状と使用したものを整理しておきましょう
診察では、耳の見た目だけでなく、症状が始まった時期や経過も大切な情報になります。
| 確認しておきたいこと | 伝え方の例 |
|---|---|
| いつから気になるか | 「昨日から」「数週間前から繰り返している」 |
| 片耳か両耳か | 「右耳だけ臭う」「両耳をかいている」 |
| 行動の変化 | 「夜も耳をかく」「触ると嫌がる」 |
| 耳掃除や薬の使用 | 使用した製品名、使った時期や回数 |
| 過去の耳のトラブル | 治療した時期、処方された薬、再発の頻度 |
使っている薬や耳洗浄液は、容器や製品名が分かる写真をお持ちいただくと伝えやすくなります。
犬の耳が臭くなる原因と、外耳炎との関係

耳のにおいの原因として考えられるものの一つが、外耳炎です。ただし、外耳炎が起こるきっかけは一つではありません。
外耳炎は、耳の通り道に炎症が起きている状態です
外耳炎とは、耳の穴から鼓膜までの通り道である「外耳道」に炎症が起きている状態をいいます。
耳の赤み、かゆみ、痛み、耳垢の増加などが見られ、細菌やマラセチアなどが増えることで、においや症状が強くなることがあります。
マラセチアは酵母という真菌の一種で、健康な犬の耳にも少数存在します。「マラセチアがいること」だけで病気と決まるわけではなく、増え方や炎症の状態などを合わせて判断します。
アレルギー・耳ダニ・異物などが関係することがあります
耳の炎症のきっかけには、アレルギー、耳ダニなどの寄生虫、草の種などの異物が関係することがあります。
例えば、アレルギーによって耳の皮膚に炎症が起こり、その後に細菌やマラセチアが増えて、症状を悪化させる場合があります。耳だけでなく、足先や顔などもかゆがっていないかは、原因を考える手がかりになります。
また、耳の形や耳道の状態などによって、トラブルが起こりやすい犬もいます。ただし、「垂れ耳だから仕方がない」「この犬種だから普通」と考えて、においやかゆみを見過ごさないようにしましょう。
耳垢の色や、においの種類だけでは原因を決められません
「茶色い耳垢だからマラセチア」「黒い耳垢だから耳ダニ」と、ご家庭で判断することはできません。
耳垢の色は原因を考える手がかりになりますが、異なる原因でも似た色になることがあります。複数の要因が重なっている場合もあります。
「納豆のようなにおい」「酸っぱいにおい」といった表現は、気づいた変化を伝えるうえでは役立ちます。ただし、においだけで薬を選ぶのではなく、診察や検査で原因を確かめることが大切です。
動物病院では何をする?診察・検査・治療と費用の考え方

初めて耳の症状で受診するときは、「痛い検査をするのかな」「耳掃除だけで済むのかな」と気になる方もいらっしゃるでしょう。
一般的な診察では、症状の経過を伺い、耳や皮膚の状態を確認しながら、必要な検査・治療を検討します。
耳の中と耳垢を調べ、原因を確認します
耳の診察では、「耳鏡」という器具を使って耳道の状態を確認します。異物や腫れ、耳垢のたまり方、可能な範囲で鼓膜の状態などを調べます。
また、耳垢を採取して顕微鏡で観察し、細菌やマラセチア、寄生虫などが関係していないかを確認することがあります。検査には、症状に合った薬を選ぶための役割もあります。
耳を触られるのが苦手な場合や、痛がる場合は、診察前にそのことをお伝えください。強い痛みや腫れがあるときは、状態に応じて鎮静・麻酔などが必要になることもあります。すべての犬に行うものではありません。
アレルギーの一部として外耳炎が出てくる場合、耳だけではなく皮膚の様々な部分で痒みが一緒に出ます。多くは「手足の先端」「目の周り」「口の周り」「わきの下」「股の間」「お尻」などです。
これらの症状も併せて気になる時は必ずかかりつけの動物病院で相談しましょう。
治療は、原因と耳の状態に合わせて行います
外耳炎の治療では、必要に応じた耳の洗浄や、炎症・細菌・真菌などに対応する薬を用います。
耳ダニが原因であれば駆虫、異物が入っていればその除去など、原因に応じた対応が必要です。アレルギーなどが関係している場合は、耳の症状を抑える治療とともに、背景にある病気の管理も検討します。
ご自宅で点耳することが難しい場合も、遠慮なく獣医師へお伝えください。無理に続けようとせず、どのような方法なら取り組めるかを相談しましょう。
費用や通院回数は、必要な検査・治療によって変わります
耳の診療では、診察料のほか、耳垢などの検査料、洗浄などの処置料、薬代がかかることがあります。
必要な内容は、炎症の程度や原因、これまでの治療経過によって異なります。そのため、「耳が臭い」という症状だけで、総額や通院回数を一律に決めることはできません。
再診では、見た目やにおいの変化だけでなく、炎症や感染が残っていないかなどを確認します。症状が軽くなっても、ご自身の判断で薬や通院を中断せず、獣医師と治療の終了時期を相談しましょう。
費用に不安がある場合は、診察時に、予定している検査や処置の内容と費用の目安をご確認ください。
耳掃除や治療をしても、においを繰り返すときは

「掃除したばかりなのに、また臭う」
「薬を使っている間はよいけれど、しばらくすると再発する」
このような場合も、飼い主さんのお手入れ不足とは限りません。
耳垢を取り除いたり、増えた細菌・マラセチアを抑えたりしても、アレルギーなどの背景が残っていれば、症状を繰り返すことがあります。また、炎症が長引くことで耳道が厚く狭くなり、治療が難しくなる場合もあります。
再発する場合は、以前と同じ薬を繰り返し使う前に、再度診察を受けましょう。これまでの治療内容や、よくなっていた期間も、原因を考えるうえで役立ちます。
耳掃除は治療を助けることがありますが、方法や頻度が合っていることが大切です。必要なケアを獣医師に確認し、痛がるときは中止して相談してください。
犬の耳のにおいについてよくある質問

耳が臭いのに、かゆがらない場合も受診した方がよいですか?
かゆがる様子が目立たない場合でも、においの変化が続くときや、耳垢の増加・赤みなどがあるときはご相談ください。
においだけでは、汚れによるものか、炎症などが起きているのかを判断できません。「かいていないから大丈夫」と決めつけず、普段との違いを伝えましょう。
片耳だけ臭う場合と、両耳が臭う場合で違いはありますか?
片耳だけか、両耳かは、原因を考える手がかりの一つです。ただし、その違いだけで病名が決まるわけではありません。
片耳だけの症状が続く場合は、異物など、耳の中の局所的な問題がないかも確認します。急に片耳を気にし始めた場合も、耳の奥を探ろうとせず、動物病院へご相談ください。
トリミングで耳掃除をしてもらえば、動物病院に行かなくてもよいですか?
トリミングでのお手入れと、耳の病気の診断・治療は役割が異なります。
においに加えて赤み・かゆみ・痛みなどがある場合は、耳掃除だけで改善するかをご家庭で判断せず、動物病院で原因を確認しましょう。
トリミングの際に耳の汚れや赤みを指摘された場合は、その内容も診察時にお伝えください。
東中野・落合で犬の耳の症状をご相談の方へ

耳のにおいや、頭を振るしぐさは、毎日一緒に過ごしている飼い主さんだからこそ気づける変化です。
「耳のにおいだけで受診してよいのかな」と迷う場合も、気になる様子をお聞かせください。痛がって触らせない場合や、これまで何度も繰り返している場合は、そのこともあわせてお伝えいただくと、診察の手がかりになります。
東中野アック動物医療センターは、落合駅から徒歩1分、東中野駅から徒歩5分の場所にあり、年中無休で診療しています。
- 電話:03-5937-6627
- 診療時間:9:00〜12:00/16:00〜19:00
- 初診受付:各診療終了時間の30分前まで
頭の傾きやふらつき、強い痛みがある場合は、まずお電話で症状をお伝えください。診療時間外に急な異変があるときは、対応している救急動物病院へご連絡ください。
