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犬・猫の膀胱炎の症状チェック法 – 早期発見と治療予防のポイントを獣医師が解説。

膀胱炎(ぼうこうえん)は、犬や猫によくある病気のひとつです。

早く見つけてきちんと治療すれば、悪化を防ぐことができます。飼い主さんが膀胱炎についてよく知っておくことが、ペットの健康を守る上でとても大切です。

この記事では、膀胱炎の基本的なことから、予防、治療まで、詳しく解説していきます。

獣医師 阿部透

膀胱炎の症状を見逃さないためのサイン!

「犬・猫の様子がおかしいな?」

と思ったら、膀胱炎のサインかもしれません。特に、以下の変化に気を付けてあげましょう。

犬猫の行動の変化

• トイレの回数が増えた!

普段の2~3倍もトイレに行くようになったら要注意です。膀胱が炎症を起こしていると、少ししか尿が溜まっていなくても、強い尿意を感じてしまうからです。

• トイレで苦しそうにしている!

排尿するときに「キャン!」と鳴いたり、体を丸めたりする様子が見られたら、膀胱や尿道が炎症を起こして痛いのかもしれません。痛みを我慢して排尿を避けると、症状が悪化してしまうこともあります。

• 少しずつしか尿が出ない!

一度に出る尿の量が少なく、何度もトイレに行きたがるのも特徴です。まだ尿が残っている感じがして、何度もトイレに行こうとします。

• いつもと違う場所でトイレをする!

普段トイレをしない場所で排尿することがあります。これは、急な尿意や痛みで我慢できないサインです。また、トイレで嫌な思いをしたため、「トイレ=怖い場所」と覚えてしまった可能性もあります。

• トイレの周りをウロウロする!

トイレに行きたい気持ちはあるのに、痛みや不快感でためらっている状態です。特に猫ちゃんでよく見られます。このような行動が続く場合は、膀胱炎が進んでいるかもしれません。

• 落ち着きがなくなった!

痛みやストレスで、普段よりも落ち着きがなくなることがあります。いつもの場所で寝なかったり、頻繁に体の向きを変えたり、飼い主さんに甘えることが増えたりします。これらは、不快感やストレスのサインとして大切です。

• お腹をよく舐める!

お腹(特に下の方)を頻繁に舐めるのは、膀胱の痛みや不快感を和らげようとしているサインです。猫ちゃんは特に、痛いところを舐めることが多いので、よく観察してあげましょう。ただし、舐めすぎると皮膚のトラブルになることもあるので注意が必要です。

犬猫の尿の変化

・血尿(けつにょう)が出た!

目で見てわかる血尿は、膀胱や尿道の粘膜が炎症を起こしたり、傷ついたりしている証拠です。薄いピンク色から濃い赤色まで、様々な色の血尿が出ることがあります。血尿の色が薄くても、油断は禁物です。

・尿が濁っている!

健康な尿は透明または薄い黄色ですが、膀胱炎になると白く濁ることがあります。これは、炎症によって尿の中に細胞成分が増えたり、細菌が増殖したりすることが原因です。

・尿の色が変わった!

普段の黄色い尿ではなく、濃い茶色や赤みがかった色になることがあります。これは、血が混ざったり、細菌が増えたり、尿石による炎症が原因となることがあります。急に尿の色が変わった場合は、すぐに獣医さんに相談しましょう。

・尿のニオイが強い!

膀胱炎になると、尿のニオイが強くなることがあります。特に細菌感染が原因の場合、アンモニア臭や腐ったような臭いがすることがあります。普段は気にならない尿のニオイが急に強くなった場合は、注意が必要です。

・尿のニオイがいつもと違う!

普段とは違う甘いニオイや酸っぱいニオイがする場合、尿の中の成分バランスが崩れているサインで、特に糖尿病で見られることがあります。一方、腎臓病の場合は尿のニオイが弱くなることが報告されています。

参考:https://www.iwate-u.ac.jp/cat-research/2024/12/006509.html

膀胱炎の原因と気を付けること

膀胱炎には、いくつかの原因があります。

1.細菌による感染

・細菌が膀胱に入り込む

肛門や生殖器の周りにいる細菌が、尿道を通って膀胱に入り込むことが最も多い原因です。特にメスの犬や猫は尿道が短いため、細菌が入りやすくなっています。

• 原因となる細菌

大腸菌が最も多いですが、腸球菌、ブドウ球菌 なども原因になります。これらの細菌は、普段は腸の中にいますが、体の抵抗力が弱まったり、衛生状態が悪くなったりすると、膀胱炎を引き起こすことがあります。

• 体の抵抗力が弱ると

健康な状態では問題を起こさない細菌でも、ストレスや病気で体の抵抗力が弱まっていると、膀胱炎の原因になることがあります。特に、高齢のペットや、他の病気を持っているペットは注意が必要です。

2.体の構造

•尿道の長さ

犬や猫の種類、性別によって、尿道の長さが違います。メスの犬や猫は尿道が短いため、細菌が膀胱に到達しやすくなっています。

•生まれつきの異常

尿管の位置の異常、尿道が狭かったりするなどの生まれつきの異常があると、尿が溜まりやすくなり、膀胱炎のリスクが高まります。

3.尿路結石(にょうろけっせき)

•結石の種類

ストラバイト結石、シュウ酸カルシウム結石など、色々な種類の結石があります。結石ができる原因は、食事や体質などによって異なります。

•膀胱を傷つける

結石が膀胱の壁を擦ることで、膀胱を傷つけ、炎症や細菌感染を引き起こします。

•尿の流れを邪魔する

結石が尿道を塞いでしまうと、尿の流れが悪くなり、細菌が増殖しやすくなります。さらに、尿道閉塞を引き起こす可能性があり、これは緊急の治療が必要な危険な状態です。放置すると命に関わるため、早急な対応が求められます。

4.ストレス(特に猫の場合)

•環境の変化

引っ越し、新しいペットを迎える、家族が増えるなど、環境の変化は猫にとって大きなストレスになります。

•多頭飼育

猫をたくさん飼っている場合、トイレやご飯の場所などを巡ってストレスを感じることがあります。

•精神的なストレス

飼い主さんが長時間留守にしたり、猫が不安や恐怖を感じたりすると、膀胱炎になることがあります。

5.その他の原因

•年齢

高齢の犬や猫は、体の抵抗力が弱まっているため、膀胱炎になりやすいです。

•他の病気

糖尿病や、クッシング症候群などの病気があると、膀胱炎のリスクが高まります。

•薬の影響

ステロイド剤や免疫抑制剤を使用すると、体の抵抗力が弱まり、膀胱炎になりやすくなることがあります。

犬猫の膀胱炎の検査方法

膀胱炎かどうかを診断するために、いくつかの検査を行います。

1.問診と身体検査

•詳しくお話を聞きます

症状が出始めた時期、症状が続いている期間、過去に膀胱炎になったことがあるか、飲んでいる薬、食事内容、最近の環境の変化などについて、詳しくお伺いします。

•体を触って確認します

お腹を触って、膀胱の大きさや硬さ、痛みなどを確認します。

2.尿検査

•試験紙を使った検査

試験紙を使って、尿のpH、タンパク質、血が混じっていないかなどを調べます。

•尿の濃さを測る

尿の濃さを測ることで、腎臓の機能や、水分をしっかり摂れているかを確認します。

•顕微鏡を使った検査

尿を遠心分離機にかけて、沈殿物を顕微鏡で観察します。赤血球、白血球、細菌、結晶などがないかを確認します。

3.尿培養検査

•原因菌を特定する

尿の中にいる細菌を特定し、どの薬が効くかを調べます。

4.画像診断

•レントゲン検査

結石がないか、膀胱の位置や大きさを確認します。

•超音波検査

膀胱の壁が厚くなっていないか、腫瘍がないかなどを確認します。また、レントゲンで検出できない結石の有無も確認します。

犬猫の膀胱炎の治療法

膀胱炎の治療法は、原因によって異なります。

1.抗生物質による治療

薬の種類

細菌感染が原因の場合は、抗生物質を投与します。

投与期間

通常、1~2週間ほど抗生物質を投与します。症状が良くなっても、獣医さんの指示通りに薬を飲み続けることが大切です。

2.痛みを和らげる

痛み止め

痛みがある場合は、痛み止めを投与します。

痙攣(けいれん)を抑える薬

膀胱の痙攣を抑える薬も、痛みを和らげるのに有効です。

3.尿のpHを管理する

食事療法

結石の種類に合わせて、尿のpHを調整する食事療法を行います。

サプリメント

尿を酸性にするサプリメントを使用することもあります。

4.特発性膀胱炎(特に猫)の管理

ストレスを減らす

猫がストレスを感じないように、生活環境を整えます。

フェロモン製剤

フェリウェイなどのフェロモン製剤を使用すると、猫のストレスを軽減できます。

5.水分摂取を促す

新鮮な水を常に用意する

水飲み場を増やしたり、色々な種類の水飲み器を試したりしてみましょう。

ウェットフードを活用する

ドライフードよりも水分が多いウェットフードを与えるのも効果的です。

犬猫の膀胱炎の予防法

膀胱炎は、日頃のケアで予防することができます。

1.日常的なケア

•適切な排尿の機会を作る:犬の場合は、定期的な散歩で排尿の機会を作りましょう。

•トイレを清潔に保つ:猫のトイレは常に清潔に保ち、猫の数+1個のトイレを用意するのが理想的です。

2.食事管理

•バランスの取れた食事を与える:品質の良いフードを与えましょう。

•療法食を活用する:過去に結石や膀胱炎になったことがある場合は、獣医さんと相談して、適切な療法食を選びましょう。

3.水分管理

•常に新鮮な水を用意する:いつでも新鮮な水が飲めるようにしておきましょう。

•ウェットフードを活用する:ウェットフードを与えたり、ドライフードに水を混ぜたりして、水分摂取量を増やしましょう。

4.定期的な健康診断を受ける

•年1~2回の健康診断:定期的な健康診断で、膀胱炎を早期発見、早期治療につなげましょう。

まとめ

犬猫の膀胱炎は、早期発見と適切な治療で治すことができる病気です。

しかし、再発しやすい病気でもあるため、日頃から予防を心がけることが大切です。ペットの様子をよく観察し、少しでも気になることがあれば、早めに獣医さんに相談しましょう。

当院では、膀胱炎で悩むペットと飼い主さんのために、それぞれの状況に合わせた治療と予防プランをご提案しています。お気軽にご相談ください。

東中野アック動物医療センター院長 阿部 透
東中野アック動物医療センター院長
阿部 透
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